E-2ビザステータスを獲得する適格性を有する者とは?
E-2ビザは、アメリカ企業に対し相当額の投資を行った条約国(E-2ビザの条約国リストはこちら)の国民(または同じ条約国出身の他の人)に対しアメリカ合衆国における居住及び就労を許可する非移民ビザです。
この記事では、個人がE-2ビザステータスの適格性を得るための要件についてご説明いたします。投資を含む企業に関する要件についてはこちらの記事をご確認ください。
E-2ビザ国籍要件
上記のとおり、まず最初に、E-2ビザ申請者が国籍を有する国がアメリカ国務省が発表するE-2ビザ国に含まれているかを確認する必要があります。E-2ビザ適格を有するのは、アメリカ合衆国と特別な通商条約、または友好条約を締結している国の国民に限られます。
注目すべき除外国はロシアと中国であり、その結果、両国の国民はE-2ビザ適格を有しません。もっとも、ロシアおよび中国の国民は以下の選択肢があります。(i) (いくつかの投資家プログラムを通して)グレナダのような国で第二国籍を取得することでE-2ビザを取得する。このオプションについてはこちらをご確認ください。または、(ii)投資家に対する特別なグリーンカードであるEB-5ビザを申請する。
EB-5ビザはE-2ビザと比べより厳格な要件が要求され、何より多額の投資が必要です。したがって、中国およびロシアの国民にとって、最も実現可能と思われるオプションは、おそらく、第二国籍を取得してE-2ビザを申請することです。E-2ビザとEB-5ビザの違いについてはこちらをご説明しています。
投資家に対するE-2ビザ要件
E-2ビザ取得へのファーストステップは、場合によりますが、有限責任会社または法人といったアメリカの企業体を作ることです。アメリカ企業の作り方と法人と有限責任会社の違いについてはこちらで説明しています。
E-2ビザステータスの適格性を得るためには、E-2投資家は、少なくとも企業の50%を保有し、または投資家が少数株主である場合は、管理権限を有するCEOや管理職の地位に就くことで当該アメリカ企業に対する運営管理を行っていることを示す必要があります。管理とは単独もしくは同格のパートナーと共に会社を代表して拘束力のある決定をする権限を意味します。
これらの観点において、株主が誰であるか、株主の持分割合、誰がどのような権限を有し、どの地位に就いているかという点を反映させた会社の運営契約書を作成することが非常に重要になります。E-2ビザ申請を無事に完了させるためには、適切に作成された運営契約書が不可欠です。当事務所のE-2ビザ弁護士は、あなたのアメリカ事業体の作成をお手伝いします。また、E-2ビザ申請が承認されるための会社の運営契約書の起案についてもお任せください。
時として会社は二人のメンバーによる所有の場合があります。このケースにおいて、両者がE-2ビザを申請した場合、アメリカ領事館は、両者が会社を代表して当該会社に対する拘束力を有する決定を行う権限を同等に有しているということを求めるでしょう。この要求を満たすための一つの方法は、各メンバーに対し、相手方の決定に対し相互に拒否権を与えることです。この構造が危険なデッドロックを引き起こす可能性は明らかですが、それについてはアメリカの移民法は考慮していません。この問題は個別に対処すべきであり、当事務所のE-2ビザ弁護士はこれらの問題についてお手伝いをいたします。
従業員のためのE-2ビザ要件
E-2ビザステータスの適格性を得るには、E-2投資家の従業員は以下の要件が必要とされます:
- 投資家と同じ国籍を有すること-条約国の国民でなければならない
- アメリカ企業により、管理職または取締役として雇用されていること、または特別なスキルおよび能力が要求される地位において雇用されていること
国籍:ご自身が国籍を有する国の国民を雇用することができます。E-2ビザ投資家はアメリカ企業の少なくとも50%を所有していなければなりません。投資家が直接的にアメリカの事業体を所有せず、外国企業を通して所有する場合でも、当該外国企業の所在地はこの国籍要件には何ら関連することはありません。投資家個人の国籍のみが関係します。
例えば、ロシア企業がアメリカ企業を所有している場合で、当該ロシア企業をイギリス人の個人が所有している場合、E-2ビザの目的上、ロシアはE-2ビザリストに含まれていませんが、ロシア企業であるということは無視され、アメリカ企業の国籍は最後の株主個人の国籍とみなされます(このケースではイギリスとなり、E-2ビザ適格があります)。
仮にアメリカ企業が2ヶ国出身のパートナーに50%ずつ所有されている場合、どちらか一方の国、もしくは両国出身-両国とも条約国である場合-の従業員はE-2ビザステータス適格を得ることができます。
シナリオ1:アメリカ企業がイタリアとイギリスの個人に50%ずつ所有されている場合、イタリアもイギリスも条約国であり、両者共にアメリカ企業を少なくとも50%所有しているため、両国出身の従業員はE-2ビザの適格性を有します。
シナリオ2:アメリカ企業がイタリア人に50%、ロシア人に50%ずつ所有されている場合。この場合、両者共にアメリカ企業を少なくとも50%所有していますが、ロシアは条約国に含まれていないため、イタリア出身の従業員だけがE-2ビザの適格性を有します。
シナリオ3:アメリカ企業がイギリス人に50%、ドイツ人とトルコ人に25%ずつ所有されている場合。3ヶ国とも条約国ですが、イギリス人だけがアメリカ企業を50%所有しており、これが同国出身の従業員を雇用する最低基準となります。
管理または執行権限。E-2ビザ従業員は、アメリカ企業において国土安全保障省が「主として当該従業員に与えられる企業活動全体またはその重要な構成要素に対する最終的な管理及び責任」として定義する管理職または監督職としての権限を果たす必要があります。
特別なスキルおよび能力。仮に管理職または監督職にない場合でも、アメリカ企業の有望な従業員は、彼または彼女が当該企業の効率的な運営に必要不可欠な特別なスキルまたは能力を有している場合はE-2ビザの適格性を有します。
当該要件の評価には以下の要因が考慮されます:
- 申請者の専門性及び特定の役職に関するこれまでの経験
- 申請者の給与
- 申請者の役職がアメリカの労働市場において容易に獲得可能であるか
移民法規定は時として解釈の対象となりますが、この規定も例外ではありません。E-2の従業員が上記の基準を満たしているかどうかの精査は難しい場合もありますし、特定のの管理職は間違いなく管理職であるにもかかわらず、米国領事によってい管理職として認められない場合もあります。
事実、アメリカ国土安全保障省の要件に合致するジョブ・ディスクリプションを作成する際には特別の注意が必要です。そうしなければあなたのE-2ビザ申請はほとんど却下されると言って良いでしょう。当事務所のE-2ビザ弁護士は、提案された従業員の地位と職務が国土安全保障省の規定要件を満たすか否かの考査に精通しており、必要があればジョブ・ディスクリプションをより適合するよう推敲するお手伝いをいたします。
E-2ビザの従業員の地位及び義務要件に関しては、こちらで更に深くご説明いたします。
家族のためのE-2ビザ
E-2ビザ投資家の直近の家族、及びE-2ビザ従業員はE-2ビザステータス適格が認められるでしょう。E-2ビザ目的のための直近の家族は配偶者及び未成年の子に限られます。他の家族は対象とはなりません。
家族に対するE-2ビザは厳格に主たる申請者のE-2に依存します。つまり、主要な申請者のビザが終了となった場合、この扶養家族ビザも終了します。
E-2ビザ保有者の配偶者はE-2ビザ企業での就労、もしくはアメリカまたは海外のその他の企業での就業が認められます。また、就労しなくても問題ありません。配偶者がアメリカで就労しようとする場合、配偶者はI-765を提出し、就労許可証を取得する必要があります。
E-2ビザ保有者の未成年の子は学校への就学のみが認められます。